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高齢化社会が進み、入院してくる患者に認知症の既往があるケースが増えています。認知症のケースも、物事を忘れてしまい活動力の低下につながるもの、場所や人がわからなくなり徘徊などをしてしまうもの、そして、攻撃性が増してしまうものなどがありますね。

看護師をしていて認知症患者に暴行をされた体験をいくつか書いてみたいと思います。

1:オムツ交換の時に手と足が出てくる患者

日常の活動が自分で行えない患者がいました。食事もセッティングをして看護師が介助を行い、排泄はベッド上で、常時オムツが必要な患者です。

ご飯の時間が大好きな様子で、いつも食欲旺盛で介助は必要ですが、誰よりも先に完食をされる患者がいました。その時はとても機嫌がよく、笑顔も素敵な方でした。

しかし大変なのはオムツ交換の時です。性格が豹変してしまうのです。おむつを確認・交換しようと服や体に触れた瞬間「何するんだよー!やめてー!」と廊下中に響き渡る声で叫ばれます。そして手をグーにして大きく振りかざし、看護師の手を雑巾を絞るようにギューと力強く握られます。そしてその手を抑えおむつを交換させてもらうとすかざずキックが看護師の腹に飛んできます。

本人は自分の身を守らなければといつも必死なのです。この患者はしばらくして退院して施設に行かれましたが、正直イライラしてしいまい、辛かったです。

2:夜勤帯になった瞬間攻撃的なスイッチが入る患者

私の病棟は2交替勤務でしたので、とにかく夜が長いです。ある夜勤入りの申し送り時に一人の認知症患者の話になりました。一人で歩く事ができ、夜になると時折自宅に帰ろうとする患者です。

申し送りでは「今日は○○さんとても穏やかでしたよ」とのことで、今日は落ち着いた夜勤が送れるかな、と思いました。しかし、申し送りが終わりこれからラウンドだという時に急にその患者のスイッチが入り、自宅に帰りたいとはじまりました。

その患者は60代の男性でとても体力があました。看護師の話など聞くわけもなくエレベーターのほうへ近づいていきます。夜勤帯で病棟を離れるわけには行かないし、患者をエレベーターに乗せるわけにもいかないので、付かず離れずの距離で患者をなだめます。

しかし自宅に帰ることができないとわかった患者は興奮し、私に向かってきて突き飛ばし、更には殴ろうとする動作をし、そのままエレベーターに乗ってしまいました。

→→ 看護師の夜勤業務で怖かった出来事

3:噛み付いてきた患者

最後は栄養状態が良くなく、首にCVカテーテルを入れていた患者です。この方も認知症があり、カテーテルを抜いてしまう危険が高かったので、観察室で経過を見ていました。家族の同意も得た上で、両上肢抑制とミトンをしていました。

これもまた私がこれから準夜帯のラウンドをしようという時でした。日勤からの申し送りが終わり、観察室へ一番最初に向かった瞬間ヒヤッとしました。患者が抑制のミトンを取り、頸部に挿入されているCVカテーテルの管をしっかり握り今にも引き抜こうとしていたのです。

私はできるだけ患者を刺激しないように、且つ素早く、CVカテーテルを握っている患者の手を抑え、カテーテルを離してもらおうとしたのですが、患者の力はとても強くすぐには取れず、その瞬間、患者に力いっぱい手首を噛まれました。

観察室はナースステーションのすぐそばなので、異変に気づいた看護師たちがすぐに助けてくれ、無事にCVカテーテルは抜去されずに済みましたが私の手首には歯型が数ヶ月残りました。そして残念な事にその患者はC型肝炎の患者だったため、そのあとは膨大な報告書と3ヶ月にわたる血液検査でのC型肝炎チェック。

陰性でしたが、これで、自分がC型肝炎にかかっていたかもと考えると、どこまで自分を犠牲に患者を守ればいいのかわからなくなりました。

看護師困った顔

少し思い起こしただけで、認知症患者に暴行されてイラっとした体験が3つも出てきてしまいました。高齢化社会と認知症患者の増加は防ぐことのできない事実ですが、その都度イライラするわけに行きません。うまく認知症患者と付き合っていく方法を見つけるのも看護師のこれからの大切な課題です。

→→ 看護師 初めての夜勤で注意するべきことは?