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私たち看護師は、解剖生理学や、栄養学という視点から口腔や歯を学びました。しかし口腔疾患については詳しく学習していないのが現実で、歯科に看護師が必要なのかと思いがちです。

例えば「食べる」という視点から看護師は、患者さんの全身状態をアセスメントできるという技術を持っています。このように看護師も歯科で活躍しているし、できるのです。転職をお考えの方は少し歯科という診療科に興味を持ってみませんか?

看護師が活躍できる歯科はどこ?

一般的に歯科といえば、町の歯科医院、クリニックがおなじみかと思います。そちらでは、歯科衛生士さんが活躍されており、看護師はみかけません。そのとおりで、町の歯科医院では看護師の求人はあまりありません。

求人で多いのは歯科大学病院、他大学病院一般病院でも、歯科、口腔外科を診療科としてもっており、外来、入院で運営されている病院は看護師の求人が出ていますので求人サイトをご参照ください。

歯科、口腔領域の看護は何をするの?

歯科、口腔外科では、口腔ケアを中心とする、予防的な取り組みで早期発見、早期治療に対しての指導を行い治療効果をあげたり、虫歯や矯正、義歯の治療など一般的な歯科の治療、口腔内の腫瘍や、奇形、外傷による手術等まで広い範囲で看護の役割があり、他の診療科と違った特徴があります。

では具体的な看護師のお仕事と看護の役割をご説明いたします。

歯科でのお仕事と看護の役割

看護師普通

人間は何かを食べないと生きていけません。食欲は基本的欲求であり生きるためには欠かせない欲求です。その中で、ものを食べる入り口「口腔」は咀嚼、嚥下をつかさどり、栄養を取り入れるための大切な器官です。看護師は食物が正しく咀嚼、嚥下ができ、栄養として身体に取り込めているかを考えなくてはいけません。またそれらに何らかの障害がある場合は、口腔ケアや嚥下テストや嚥下訓練等のリハビリテーションを行うような判断が必要となります。

口腔は、呼吸する器官でもありますので、歯科、口腔疾患により呼吸に障害をきたすこともあります。呼吸状態の悪化は全身状態の悪化につながる事もありますので十分な観察を行う必要があります。

また口は言葉を発する器官でもあります。人間は言葉で他者とコミュニケーションをとります。これらも障害されるとなると会話、発声ができなくなるという人としてのコミュニケーション機能も阻害されるため、人間関係にストレスを感じている患者さんも多いと思われます。

看護師は、このような患者さんの思いを汲み取って看護を行う必要があります。

病棟でのお仕事と看護師の役割

入院される患者さんは、手術目的で入院される患者さんが多くなります。

主な業務内容は、術前術後の看護と、日常生活の援助、診療補助業務となります。

大学病院などは、ベース疾患の治療中に歯科領域の疾患の治療を行ったりします。また高齢者は何らかの内科的疾患をベースに持ちながら治療を行いますので、内科的な知識は必要となってきます。

小児の疾患では、口唇裂などの先天奇形等の手術で入院されている患者さんも多く、ご両親への配慮など小児看護も学ぶ事ができます。

悪性、良性腫瘍での手術もなされますので、外科看護の経験があれば、仕事になじみやすいと思います。化学療法、放射線治療などの治療、ターミナルケアも重要となるでしょう。

外来でのお仕事と看護師の役割

多くの病院の外来では、歯科部門と口腔外科が分かれて診療されています。看護師の主な仕事は診療補助業務で、患者さんの受付、患者さんの誘導、診療機器の管理となってきます。他の外来と違い、治療に必要な医療機器は特殊で、その音は患者さんに恐怖や不快を与えます。外来ではそれらの不安を軽減する事も看護師の役割となるでしょう。

看護師普通

歯科での治療は30分から1時間と長時間かかることが多く、特に高齢の患者さんや、身体の機能障害がある患者さんは医師が診察しやすいよう診察台でのポジションを整えたり、患者さんが長時間の治療で苦痛ではないよう配慮が必要です。

外来では比較的、日常生活が自立されている患者さんが多く、命に直接直結する疾患は少ないため精神的にはストレスなく仕事することができます。

歯科での看護師の仕事は決して特殊ではありません。

歯科、口腔疾患は、人間の基本的欲求の「食べる」「呼吸」「会話」に障害をきたします。患者さんはそれらの障害により強い不安をいだかれていますので、不安を軽減できるような看護を提供しましょう。

疾患により、見かけが悪かったり、臭気が強いという特徴があり、患者さんは何かと遠慮して、人と接する事を拒んだり、思った事を伝えられない事があります。放射線治療をされている患者さんは食事が入らなくなったり、強烈な痛みを伴うこともありますので、その患者さんの状態を十分理解して看護介入しましょう。

歯科という診療科は、特殊な科というイメージでしたが、他の診療科での経験が3年以上で、基礎看護技術、看護過程の展開ができれば支障なく、お仕事することができるはずです。