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私は看護師として働いて10年になります。そのうち病棟勤務は約7年でしたが、毎日様々な患者の対応をしてきました。

ですが、1年目の時に経験したある出来事は、絶対に忘れることなく今でも昨日のことのように思い出せます。

「ある日の対応が引き起こしたこと」

当時新人看護師として働いていた私が少しずつ受け持ち患者を持つようになったことのお話です。

受け持ち患者にある日、痛み止めの座薬を持って来てと言われました。そしてバタバタ忙しくしていた私はすぐさま痛み止めの座薬を持って行き、挿肛しようとしたのですが、その患者は自分でやるから手袋ちょうだい、と言いました。男性でしたが私は何も考えず、自分が使用しようとしていた、使い捨てのMサイズの手袋を渡して、その場をさりました。

その少しあとで、痛みが取れたかどうか訪室すると、患者の痛みは取れていましたが、いつもよりどこか無愛想でした。痛みと戦って少し疲れているのかな、と思った私は詳しく話を聞かずにその場をさりました。

しかし、更に時間が経ってから、訪室すると、「さっき渡された手袋が小さすぎたんだよ。もう来ないでくれ」と言われてしまいました。すぐに私も申し訳ないことをしてしまったと謝りましたが、機嫌はなおりませんでした。

ペアを組んでいた先輩看護師にもすぐにその話をしましたが、受け持ちなのだから、逃げずに行きなさいとのことで、そこから辛い日々との戦いでした。

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「受け持ち患者に受け持ちを拒否される日々」

それからというもの、検温にいっても毎日背中を向けられ、もう来るなと言われる日々でした。しまいには話しかけても返事すらもらえない日々でとにかく辛く憂鬱でした。

日中の担当はペアを組んでいた先輩に変わりましたが、夜勤の時には避けられません。

痛みがあったときにスムーズに対応できなかった私にも非はあるが、ナースコールを押してすぐに手袋を交換することだってできたのに、なぜここまで拒否をされなければならないんだ、と思ったりもしました。

「10個不快な思いをするとクレームとなる」

これはのちのち医療安全の講習会で聞いた話ですが、不快な思い一つではクレームとして言ってく人はそうそういないそうです。いくつかの不快な思いが重なって初めて、大抵の人はそれを声に出していう。

私は日中の受け持ちを外れたあとも、夜勤のときには「あの時は申し訳ないことをした」ということを謝りながら訪室していました。すると、拒否されてから、数日後に初めて患者が「あんたはいつも自分の言いたいことだけいう」と言いました。

そうです。全てはこれが原因だったんだ!とすぐに悟りました。受け持ち始めたことは患者も笑顔が多く、いろいろな事を話してくれていましたが、病状の悪化で痛みも増したせいで最近険しい顔ばかりすると思っていたのですが、違ってました。半分は痛みのせいではなく、日々の私の対応に不快感を覚えていたからなのでした。

私はとにかく自分の未熟さに申し訳なくなり、改めて謝りました。申し訳がなすぎて、涙も出てしまいました。

その話をしてからは、患者が少しだけ許してくれ、いつも拒否してた検温をさせてくれるようになりました。

そしてまもなくして、その患者は亡くなりました。

今回はクレーマーではなく、紛れもなく私の対応の未熟さが引き起こしたことで、今思えば、なんて心無い対応をしてしまったんだと思います。新人看護師はこのようなことは誰しも経験することかもしれません。

当時は本当に仕事を続けたくないと思い毎日辛かったですが、この患者の対応のおかげで、その物事の重さを受け止めることができました。その時の患者の苦痛は決して忘れることのできないケースとなり、私を成長させてくれたと思っています。

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