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インターネットの普及や電子機器の進化に伴い患者やその家族が様々な形で容易に疾病や治療に対する知識や病院の情報を収集しやすい現状にあります。

また、昔は医者は神様という固定観念が医師・家族ともにあり、治療に対しても医師のいうことが絶対的という雰囲気が漂っていましたが、現在はインフォームドコンセントを十分に行わなければならなかったり、患者・家族がセカンドオピニオンへ行き、病院を選べる時代になりました。

このような時代背景により、私が看護師として働いているこの10年前後でも目に見えて医療者と患者・家族の関係は近くなっているように感じます。

もちろん、患者が治療を受ける上で、医師との距離感が縮まり、患者・家族が自分の思いを医師や看護師に打ち明けやすい状況はとても喜ばしいことだと思います。

しかし、そうなると今度は、患者・家族は神様だと思いはじめる人たちが増えたのです。

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「病院に対するクレームの数々」

私が総合病院で働いていた頃、毎月患者・家族からの意見箱の内容を収集しプリントアウトして張り出されていました。

内容は、診察の待ち時間が長い、事務の対応が悪い、どこそこが汚い、表示がわかりづらい、実にさまざまでした。

「病棟看護師に対するクレーム」

病棟看護師へのクレームもいろいろありましたが、正直私たちには直しようがないことや、良かれと思ってやっていることを指摘されることもあり、流石にそれはクレームでしょ、と思う内容だったりしたこともありました。

「恥ずかしい思いをさせられた」

麻痺があり、ベッドで寝たきり、意識はしっかりしているけれど、発語がうまくできず、なかなかコミュニケーションの取れない男性患者がいました。

家族は自宅での介護に献身的でしたので、家族はうまく言葉がでない患者ともコミュニケーションがとれていましたが、看護師はなかなか患者が何を伝えたいのか理解できず、一生懸命ジェスチャー等を交えながらコミュニケーションをはかっていました。

ADLはリハビリ以外ベッド上だったので、排泄はオムツ内、全身清拭等も必要でした。

その患者は脳梗塞後の後遺症なのか、もともとの性格なのか、うまく看護師とコミュニケーションが取れないストレスなのか、時折興奮し何かを叫んだり、威圧的に健側の上下肢を振りかざしたりすることがあり、カンファレンスでも問題にあがるほどでした。しかし、家族が面会に来ている時には一切興奮することなく穏やかにすごしていました。

私も夜勤で受け持つことがあったのですが、あるとき、私を含め何人かのスタッフが看護師長に呼び出されました。

問題に上がっていた患者が、陰部洗浄の際に看護師から恥ずかしい思いをさせられたというものでした。看護師長に呼び出されたスタッフたちは、その患者の担当をしたことのある看護師たちでした。

正直いつも何を話そうとしているのか理解に苦しむ程、言語障害のあった患者がそのようなことを家族にどのように訴えることができたのかな、と思いました。

もし本人が看護師の対応に嫌な思いをしていたのであれば申し訳ないことをしたと思いますが、むしろ、対応の度に機嫌を悪くされ、家族のいない時は暴力に近い行為や威圧的な態度をしていた患者で、カンファレンスにあがるほどでしたので、困っていたのはスタッフの方です。

それでも、ベッドから動くことができない患者のために身の回りの介助や清潔ケアをしたのに、そのような事を言われ、看護師長に一人一人尋問をされたのです。

家族にはいつも温和な態度しか見せていない患者だったので、看護師に対して常日ごろから威圧的で攻撃的な態度をされて困っていました、ともいうことができず、結局看護師側の対応が悪かったから気をつけるように、と厳重注意をされたのでした。

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